ANA特典航空券の総額は運航会社で決まる|東京⇄シンガポール往復が14,880円で取れた予約画面を公開
特典航空券を取ろうとして、必要マイルより「お支払い総額」のほうにげんなりした経験はないでしょうか。マイルは無料でも、燃油サーチャージと税金で数万円が飛んでいく。家族4人ならその4倍です。
先日、東京⇄シンガポールの往復を特典航空券で検索していて、同じ日程・同じエコノミーなのに総額が83,230円と14,880円という2つの結果が出ました。5倍以上の開きです。
違いは1つだけ。どの航空会社の便で飛ぶかです。
同じ路線・同じ日程で、総額が6分の1近くになった
東京⇄シンガポールの往復、2027年5月18日発・7月13日帰り、エコノミー、大人1名。条件はまったく同じです。

まずANA運航便(NH843/NH842)で組んだ場合。ANA特典で32,500マイル/83,230円です。

次にシンガポール航空運航便(SQ011/SQ634)で組んだ場合。スターアライアンス特典(ANAのマイルで提携社の便に乗る特典航空券。後述します)で35,000マイル/14,880円。往復とも予約状況は「OK」です。
| 運航会社 | 便名 | 特典種別 | 必要マイル | お支払い総額 |
|---|---|---|---|---|
| ANA | NH843/NH842 | ANA特典 | 32,500 | 83,230円 |
| シンガポール航空 | SQ011/SQ634 | スターアライアンス特典 | 35,000 | 14,880円 |
| 差 | — | — | +2,500 | −68,350円 |
2,500マイル多く払うだけで、現金が68,350円下がります。
追加で払う2,500マイルに対して、浮く現金は68,350円。追加分だけで割れば1マイルあたり27円換算です。もちろんこれは「2,500マイルを足すかどうか」だけを切り出した数字で、発券全体のマイル価値を表すものではありません。それでも、2,500マイル多く払う価値があるかの判断は、迷う余地がないと思います。
家族4人なら差額は27万円を超えます。マイルの追加負担は1万マイルです。
ただしこれは、同じ便に4人分の枠が同時に出ていることが前提です。提携社の特典枠は1〜2席しか開いていないことも多く、家族連れにとってはここが最大の壁になります。
なぜこんな差が出るのか
特典航空券で払う現金は運賃ではありません。中身は燃油サーチャージ+各国の空港税・手数料です。
このうち燃油サーチャージは、運航する航空会社が独自に決めています。ANAは日本発の国際線に高めのサーチャージを課しており、今回のシンガポール線(東南アジア方面)は2026年7〜8月発券分で片道33,500円、往復67,000円です。一方でシンガポール航空はこれを取りません。

数字を分解すると、きれいに合います。ANA運航の83,230円から往復のサーチャージ67,000円を引くと、残りは約16,000円。これが空港税や手数料にあたる部分で、サーチャージのないSQ運航の14,880円とほぼ一致します(差の1,000円強は、発着が成田と羽田で分かれているぶんの空港使用料の違いで説明がつく範囲です)。
つまりSQ運航で消えているのは、まるごとANAの燃油サーチャージです。
ANAのマイルで予約していても、飛ぶ飛行機がSQなら、乗る区間にかかるのはSQのルールというわけです。
「海外発券が安い」は、少なくともこの路線では成り立たなかった
マイルの世界では「発券地(旅程をどの国から始めるか)を海外にすると安くなる」という話をよく聞きます。今回それも実際に試したのですが、結果は逆でした。

同じ都市ペア・同じ日程で、向きだけ逆にして比べた結果です。
| 旅程 | 運航 | 必要マイル | お支払い総額 |
|---|---|---|---|
| 東京発 シンガポール往復 | ANA | 32,500 | 83,230円 |
| シンガポール発 東京往復 | ANA | 32,500 | 91,170円 |
| 東京発 バンコク往復 | ANA | 30,000 | 80,500円 |
| バンコク発 東京往復 | ANA | 30,000 | 87,180円 |
必要マイルは向きを変えても同じでした。必要マイルは「どの地域とどの地域を結ぶか」(ゾーン)で決まるので、向きが変わっても同じ欄を引くことになります。ところが現金は日本発のほうが6,680〜7,940円安い。2つの都市ペアで同じ向きの差が出たので、たまたまではありません。
そして決め手がこれです。

シンガポール発でSQ運航にすると、14,880円。東京発のときとまったく同じ金額です。
つまり、発券地を変えても総額は動かない。動いていたのはANAのサーチャージが日本発と海外発で違うぶんだけでした。SQにはサーチャージがないので残るのは空港税だけですが、往復である以上は同じ2つの空港を使うので、どちらから始めても合計は変わらない、というわけです。
探すべきは安い発券地ではなく、サーチャージを取らない航空会社でした。
代償もあります
いいことばかりではないので、先に弱点を書いておきます。
- 必要マイルは増えます。今回の例で+2,500マイル。提携特典はANA特典と別の料金表なので、路線によってはもっと差が開きます
- 提携特典は空席待ちができません。空席待ちというのは、枠が空くのを予約待ちの列に並んで待つ仕組みのこと。全区間が「空席あり」になっていないと、そもそも予約に進めません。ANA便なら空席待ちで粘れますが、この手は使えません
- 他社が提携プログラムに開放する特典枠は、自社会員向けより限られていることが多いようです。今回の日程では空席が出ていましたが、いつでも出ているとは限りません。枠が出た瞬間に押さえる前提で考えたほうが安全です
裏を返せば、枠さえ取れれば圧倒的に有利ということでもあります。総額が7万円近く違うなら、日程に幅を持たせて枠を探す価値は十分にあります。
なお、提携社ならどこでも安くなるわけではありません。同じときに東京⇄バンコクをエバー航空の台北経由で組んでみたところ、38,000マイル/84,790円で、ANA特典の直行(30,000マイル/80,500円)よりマイルも現金も高くなりました。「提携社を使えば安い」ではなく「サーチャージを取らない会社を使えば安い」です。会社ごとに違うので、実際に引き比べてください。
探し方
やることは単純で、同じ旅程を運航会社を変えて引き比べるだけです。
- ANAのトップページから「特典航空券」→「特典航空券予約」と進んでログインする
- 行き先と日程を入れて検索する
- 結果画面で提携社の便を選ぶ(今回ならシンガポール航空の便)
- 「特典種別」をANA特典とスターアライアンス特典で切り替えて、必要マイルとお支払い総額の両方を見比べる
- マイルの増分と現金の減分を比べて、割に合うほうを選ぶ
見るべきは必要マイルだけではありません。必要マイルとお支払い総額はセットで比べてください。マイルが安い選択肢が、総額では高くつくことがあります。
まとめ
- 同じ東京⇄シンガポール往復でも、ANA運航なら83,230円、シンガポール航空運航なら14,880円
- 差は+2,500マイルで−68,350円。家族4人なら27万円規模の差になる
- 理由は燃油サーチャージ。運航する航空会社ごとに決まるので、飛ぶ会社を変えれば総額が変わる。ANAの東南アジア線は往復67,000円(2026年7〜8月発券分)で、これがまるごと消える
- 「海外発券が安い」は今回の路線では成り立たなかった。日本発のほうが6,680〜7,940円安い
- ただし提携特典は空席待ちができない。枠が出ているかどうかが勝負
マイルを貯めるのは時間がかかりますが、同じマイル数で総額を7万円下げるのは、検索画面で特典種別を切り替えるだけです。手間と効果が釣り合っていません。
次に特典航空券を取るときは、ANA便で出てきた金額をそのまま受け入れる前に、一度だけ提携社の便でも引いてみてください。
特典航空券の組み方については、以下の記事でもまとめています。
- ANA特典航空券のストップオーバー活用術|必要マイル同額で「もう1都市」泊まれた予約画面を公開
- ANA特典航空券のオープンジョー活用法|行きと帰りで違う都市を使っても必要マイルは同じだった
- ANA・JAL燃油サーチャージが約2倍に|家族で海外旅行を続けるための選択肢
