東南アジアを周遊するとき、「行きはバンコクに入って、帰りはシンガポールから」という組み方をしたくなることがあります。同じ空港を往復するより、移動が自然だからです。

これは航空券の世界でオープンジョーと呼ばれる形で、ANAの特典航空券でも組めます。しかも、必要マイルは単純往復と同じでした

実際に検索した画面を見ながら、組み方と注意点をまとめます。

本記事の必要マイル・金額は2026年8月12日に検索した時点の表示(2027年の日程・大人1名・エコノミー)です。ANA公式サイトの特典予約画面で「選択内容の確認」画面まで進んで確認しています(発券手続きには進んでいません)。燃油サーチャージは2か月ごとに改定され、諸税や為替でも変動します。ルール自体も改定されるため、組む前に公式の最新条件をご確認ください。

オープンジョーとは

行きの到着地と、帰りの出発地が違う旅程のことです。

日本発オープンジョーの概念図。東京からバンコクへ飛行機で移動し、バンコクからシンガポールまでは点線と電車アイコンで「別の交通手段で移動」と示され、シンガポールから東京へ飛行機で戻る
バンコク→シンガポールの移動手段は自由です(LCC・鉄道・バスなど)。図のアイコンは一例です。

図のように、東京からバンコクへ飛んで、バンコクからシンガポールまでは自分で移動し、シンガポールから東京へ帰る。つながっていない区間は航空券に含まれず、自分で手配します。この空いた区間を、業界では地上区間やサーフェスと呼びます。

「行きと帰りで別の空港を使う」だけなので難しい話ではありません。国内旅行で「行きは新幹線、帰りは飛行機」とするのと発想は同じです。

実際に組んでみた

東京(羽田)発、2027年5月18日。エコノミー、大人1名です。

ANA特典予約の確認画面。東京(羽田)→バンコクのあと「別の交通手段で移動」と表示され、シンガポール→東京(成田)で戻る旅程。必要マイル30,000マイル・お支払い総額83,530円
  • 2027/05/18 東京(羽田) → バンコク NH849
  • ― バンコク → シンガポール:別の交通手段で移動
  • 2027/06/01 シンガポール → 東京(成田) NH802

30,000マイル/83,530円。2区間とも予約状況は「OK」です。

真ん中に出ている「別の交通手段で移動」の行が、オープンジョーが成立している印です。こちらから何かを申告する必要はありません。複数都市検索で「区間1の到着地」と「区間2の出発地」を別の都市にすると、ANAが自動でこの行を挿入します。

必要マイルは単純往復と同じだった

同じ日程で東京⇄バンコクの単純往復を引くと、30,000マイル/80,500円(ANA特典)でした。

東京発 エコノミー(2026年8月12日検索)
旅程必要マイルお支払い総額
東京⇄バンコク 単純往復30,00080,500円
東京→バンコク/[地上移動]/シンガポール→東京30,00083,530円
±0+3,030円

マイルはまったく同じ。増えたのは現金の3,030円だけです。その差額で「帰りはシンガポールから」が手に入ります。

理由は必要マイルの決まり方にあります。ANAの特典航空券は、出発地と目的地のゾーン(世界を地域ごとに区切った区分)と搭乗クラスで必要マイルが決まります。そして目的地は、出発地から見て必要マイルがいちばん高くなる地点で判定されます。今回のように帰りの出発地をシンガポールに変えても、その判定が変わらなければ引く料金表の欄も変わりません。実際、必要マイルは単純往復と同じ30,000マイルのままでした。

これは途中降機ではありません

ここで疑問を持たれた方は鋭いです。ANA便だけを使うANA国際線特典航空券は、日本発の旅程では途中降機ができません(2025年6月24日以降の利用条件)。バンコクに2週間泊まっているのに、なぜ通るのか。

答えは、この旅程に途中降機が入っていないからです。

バンコクは行きの目的地、シンガポールは帰りの出発地。どちらも「目的地の手前で途中下車する」地点ではありません。目的地にどれだけ長く滞在しても、それは途中降機になりません。だからANA便だけで組めて、ANA特典のまま通ります。

これには実利があります。ANA特典なら空席待ちが使えます。提携社の便を含む旅程(スターアライアンス特典)は空席待ちができないので、全区間が「空席あり」でないと予約に進めません。オープンジョーだけならその制約を受けずに済みます。

途中降機と組み合わせると、往復より安くなることもある

ここからが面白いところです。オープンジョーと途中降機を両方使った3区間の形も組めました。

ANA特典予約の確認画面。東京→バンコク→シンガポールと飛び、シンガポールからクアラルンプールは「別の交通手段で移動」、クアラルンプール→東京で戻る3区間の旅程。必要マイル38,000マイル・お支払い総額84,160円
  • 2027/05/18 東京(羽田) → バンコク NH849
  • 2027/05/25 バンコク → シンガポール SQ705(シンガポール航空)
  • ― シンガポール → クアラルンプール:別の交通手段で移動
  • 2027/06/01 クアラルンプール → 東京(成田) NH816

38,000マイル/84,160円(スターアライアンス特典)。バンコクに1週間泊まり、シンガポールへ飛び、そこからクアラルンプールへ自分で移動して、クアラルンプールから帰国する形です。

注目してほしいのは金額です。同じ提携特典・同じ38,000マイルどうしで比べると、東京⇄バンコクの往復(復路は台北経由)が84,720円なので、都市が2つ増えているのに560円安く収まっています

ただし比較相手には注意が必要です。この84,720円は復路が台北経由で、乗り継ぎが入るぶん38,000マイルになっています。東京⇄バンコクを最安で取るなら、ANA特典の直行便で30,000マイル/80,500円。それと比べれば、この3区間版はマイルで8,000、現金で3,660円上回ります。

要点は「都市を増やすと必ず高くなるわけではない」ということです。同じ枠(同じ特典種別・同じマイル数)の中なら、経由地が変わることで総額が下がることもあります。ただし枠そのものを変えれば話は別で、最安を狙うなら直行のANA特典が強い、という関係になります。

注意点

地上区間の費用は航空券に含まれません。バンコクからシンガポールまでの移動は自分で手配して自分で払います。この区間はLCCの激戦区で片道1万円を切ることも珍しくありませんが、それでも総額を比べるときは足して考えてください。逆に言えば、もともとその区間を移動する予定があるなら、そのぶんがまるごと活きる組み方です。

ほかに押さえておきたい点を挙げておきます。

  • 途中降機を足すなら往復で1回まで。3区間版のようにバンコクで泊まる形は途中降機にあたり、提携特典では目的地以外に1回だけと決まっています
  • 提携社の便が入ると空席待ちが使えません。3区間版はシンガポール航空の便を含むのでスターアライアンス特典になり、全区間「空席あり」が必要です
  • 地上区間の距離には条件があります。あまりに長い地上移動は認められないことがあるので、極端な組み方は避けてください
  • 単純往復の検索フォームでは組めません。必ず「複数都市」検索から入ってください

組み方

  1. ANAのトップページから「特典航空券」→「特典航空券予約」と進んでログインする(予約画面のURLを直接開くとエラーになります)
  2. 検索フォームで「複数都市」を選ぶ
  3. 区間1に「東京→バンコク」、区間2に「シンガポール→東京」のように、区間1の到着地と区間2の出発地をわざと別の都市にする
  4. 検索すると、間に「別の交通手段で移動」の行が自動で入る
  5. 「特典種別」をANA特典とスターアライアンス特典で切り替えて、必要マイルとお支払い総額の両方を見比べる

まとめ

  • 行きと帰りで別の都市を使うオープンジョーは、ANA特典航空券で組める
  • 東京→バンコク/[地上移動]/シンガポール→東京が30,000マイル。単純往復とマイルは同額で、現金が3,030円増えるだけ
  • これは途中降機ではないので、ANA便だけで組めて空席待ちも使える
  • 途中降機と組み合わせた3区間版は38,000マイル/84,160円。同じ提携特典どうしなら都市が2つ増えて560円安いが、最安のANA特典直行(30,000マイル/80,500円)には及ばない
  • 地上区間の移動費は自己負担。もともと移動する予定があるなら相性が良い

周遊したいのに「同じ空港に戻らないといけない」と思い込んで諦めていた方は、一度この形で検索してみてください。マイルが増えないなら、使わない理由がありません。

特典航空券の組み方については、以下の記事でもまとめています。