ANAの特典航空券で、少し変わった旅程が組めました。

東京からバンコクへ飛び、しばらくして今度は大阪からシンガポールへ飛ぶ。日本を出る便が2本入っているのに、1枚の特典航空券です。

必要マイルは38,000マイル。同じ方面の単純往復が35,000マイルなので、差は3,000マイルだけ。その3,000マイルで、2回目の旅行がまるごと付いてきます。

ただし成立には条件があり、外すと弾かれます。実際に弾かれた画面も含めて、組み方をまとめます。

本記事の必要マイル・金額は2026年8月12日に検索した時点の表示(2027年の日程・大人1名・エコノミー)です。ANA公式サイトの特典予約画面で「選択内容の確認」画面まで進んで確認しています(発券手続きには進んでいません)。燃油サーチャージは2か月ごとに改定され、諸税や為替でも変動します。ルールも改定されるため、組む前に公式の最新条件をご確認ください。

実際に組めた旅程

ANA特典予約の確認画面。東京(羽田)→バンコク、別の交通手段で移動、大阪(関西)→シンガポール、シンガポール→東京(成田)という日本発2本・日本着1本の旅程。必要マイル38,000マイル・お支払い総額90,160円
  • 2027/06/15 東京(羽田) → バンコク NH849
  • ― バンコク → 大阪:別の交通手段で移動(=地上区間。飛行機に乗らず自分で移動する部分です)
  • 2027/07/13 大阪(関西) → シンガポール SQ619(シンガポール航空)
  • 2027/08/01 シンガポール → 東京(成田) NH802

38,000マイル/90,160円(提携航空会社特典航空券=ANAのマイルで提携社の便に乗るタイプ。予約画面では「スターアライアンス特典」と表示されます)。3区間とも予約状況は「OK」です。

方向を数えると、日本を出る便が2本(東京→バンコク、大阪→シンガポール)、日本に戻る便が1本(シンガポール→東京)。行きと帰りの数が揃っていません。

ただし、通るかどうかを決めているのは便の向きではありません。条件は後半で説明します。

実質「2回の旅行」が1枚に収まる

この旅程の中身を分解すると、こうなります。

  • 1回目の旅行:6月に東京からバンコクへ。帰りは自分で手配して大阪へ戻る
  • 2回目の旅行:7月に大阪からシンガポールへ。8月に東京へ戻る

別々の時期の、別々の旅行です。それが1枚の特典航空券に収まっています。

なぜ3,000マイルしか増えないのか

単純往復と2回の旅行を比べた概念図。左は東京とバンコクを往復する35,000マイル、右は東京→バンコク→(自分で手配する地上区間)→大阪→シンガポール→東京の38,000マイル。差はプラス3,000マイルで、バンコク→大阪の実費は自己負担
左の35,000マイルは直行2区間を前提とした料金表からの推定値で、実際に検索して確定したのは東京⇄シンガポールのみです(2026年8月12日検索)。

からくりは、必要マイルの決まり方が2段構えになっていることです。

提携航空会社特典航空券・日本発の必要マイル(エコノミー)
区分対象になる旅程東南アジア方面
Zone 1-A国際線往復2区間だけの旅程(+日本国内の乗り継ぎ)35,000マイル
Zone 1-Bそれ以外すべて38,000マイル

名前は「ゾーン」ですが、AとBを分けているのは行き先ではなく区間の数です。行き先の地域区分(東南アジア、北米など)とは別の軸だと思ってください。

いちばん安いのはZone 1-Aで、「行って帰るだけ」の2区間の旅程が対象です。日本国内での乗り継ぎは含めてよいことになっています。

そこから外れる旅程は、すべてZone 1-Bになります。海外で1回でも乗り継いだ時点でこちらです。今回の旅程も、区間が3本あるのでZone 1-Bです。

ポイントは、Zone 1-Bの中では細かい区別がないことです。海外で乗り継ぐだけの旅程も、その街に1か月泊まる旅程も、日本を出る便が2本ある旅程も、同じ38,000マイル。

どうせZone 1-Bに入るなら、その枠内で欲張ったほうが得、というのがこの組み方の正体です。単純往復から3,000マイル足してZone 1-Bに入り、そのぶん旅程を伸ばす、という考え方になります。

参考までに、往復2枚を別々に取った場合とも比べておきます。

取り方必要マイル根拠
東京⇄シンガポール 往復(直行・Zone 1-A)35,000実際に検索して確認
東京⇄バンコク 往復(直行・Zone 1-A)35,000料金表から(下記参照)
2枚の合計70,000
今回の1枚38,000実際に検索して確認
−32,000

2回ぶんの旅行を別々に取るより、32,000マイル少なく済む計算です。

この表のうち東京⇄バンコクの35,000マイルだけは、実際に検索した数字ではありません。今回引いた東京⇄バンコクはどれも経由便でZone 1-B(38,000マイル)になったためです。タイとシンガポールは同じゾーンなので、直行の2区間で組めばシンガポールと同じZone 1-Aの35,000マイルになるはず、という料金表からの推定です。実際に取られる際はご自身で確認してください。

現金は別に考えてください。今回の1枚は90,160円でしたが、これにバンコク→大阪の片道の実費が乗ります。この区間は自分で手配して自分で払うものです。2026年8月時点で各種比較サイトを見ると、バンコク→関西の片道はLCCで2万円前後から、時期や航空会社によっては3万円台という水準でした。これを足すと、往復2枚で取った場合の総額と比べて現金では逆転します。マイルは確実に浮きますが、現金が得になるかは地上区間の手配しだいです。あわせて、2回目は大阪発になるので、東京にお住まいの方は関西空港までの移動も見込んでおいてください。

成立する条件

いろいろな形を試したところ、通るかどうかを分けているのは長く滞在する都市の数でした。

途中降機(24時間を超える滞在)は、目的地以外に往路・復路のどちらかで1回だけ。

ここでいう目的地とは、出発地から見ていちばん必要マイルが高くなる地点のことです。今回はバンコクとシンガポールが同じゾーンなので、どちらかが目的地、もう片方が途中降機1回ぶんという扱いになります。

つまり長く滞在できるのは、目的地とあと1都市の合計2つまで。今回の旅程はバンコクとシンガポールでちょうど使い切っています。だから日本でもう1泊ぶん挟む余地がなく、バンコク→大阪を地上区間にする必要がありました。

この目で見ると、試した3つの形の結果がきれいに説明できます。

旅程の形長く滞在する都市途中降機結果
東京→BKK/[地上]/大阪→SIN→東京バンコク・シンガポール1回成立
東京→BKK→大阪→SIN→東京(地上区間なし)バンコク・大阪・シンガポール2回不成立
東京→BKK→大阪/[地上]/福岡→SIN→東京バンコク・大阪〜福岡・シンガポール2回不成立
ANA特典予約画面のエラー表示。日本国内で長期滞在する旅程を組もうとして「ご指定の旅程はご利用いただけません」と表示された画面

不成立のときは、どれも同じメッセージが出ます。理由は表示されません。

ご指定の旅程はご利用いただけません。以下「ご利用のヒント」をご確認いただき、フライト条件を指定し直してください。

不成立の2つは、バンコクとシンガポールに加えて大阪での長期滞在が入っています。長く滞在する都市が3つになるので上限を超えます。

バンコク→大阪を地上区間にすると、なぜ枠を使わずに済むのか。途中降機は「飛行機で降りた地点」の滞在を数えるからです。地上区間で着いた街は、そもそも降り立っていないので数に入りません。大阪は「泊まった街」ではなく「次の便に乗る出発地」という扱いになります。

なお、旅程を海外で終える形(東京→バンコク→大阪/[地上]/福岡→シンガポール)も試しましたが、これも通りませんでした。この形も大阪〜福岡での長期滞在を含んでいるので、同じ理由と考えられます。

地方在住の方に朗報です。24時間以内の乗り継ぎなら、日本国内でも往路・復路それぞれ2回まで認められています。しかも国際線の往復2区間+日本国内の乗り継ぎだけの旅程は Zone 1-A のままなので、「福岡→羽田→バンコク/バンコク→羽田→福岡」のように組んでも、必要マイルは東京発の単純往復と同じ35,000マイルです。気をつけるのは滞在時間だけで、羽田で1泊してしまうと途中降機扱いになり、貴重な1回を使ってしまいます。

海外発でも同じ形が作れます

この旅程は環状になっているので、どこで切るかを変えるだけで別の形になります。出発地をシンガポールにすると、こうなりました。

ANA特典予約の確認画面。シンガポール→東京、東京→バンコク、バンコクから大阪は「別の交通手段で移動」、大阪→シンガポールという旅程。必要マイル38,000マイル・お支払い総額97,040円

38,000マイル/97,040円。マイルは同じですが、起点も終点もシンガポールになります。日本在住の方はシンガポールに入る手段を別に用意することになるので、シンガポール在住の方や、そこを起点に動く予定がある方向けです。日本在住なら、先に紹介した東京発の形のほうが素直で安く済みます。

ビジネスクラスでは組めませんでした

同じ形を全区間ビジネスクラスで組もうとしたところ、弾かれました。

原因はビジネスの特典枠です。シンガポール→東京の直行便はビジネスが全便「空席待ち」で、選べたのは乗り継ぎ1回の便のみ。空席のある便で組もうとすると乗り継ぎが増えてしまい、そこで条件に引っかかったと考えられます(ANA側は理由を表示しません)。

旅程の形そのものはエコノミーで通っているので、ビジネスでも全区間に直行の枠が揃えば組める可能性はあります。ただし提携特典は空席待ちができないぶん、日程を当てるのが難しくなります。

動かせるもの、動かせないもの

2回の旅行を1枚にまとめるということは、両方の日程が1つの予約に紐づくということです。あとから動かせるのかどうか、先に押さえておきましょう。

提携航空会社特典航空券の変更・払い戻し
項目可否
搭乗日・便の変更できる(有効期間内、出発の96時間前まで。元の便が出発していないこと)
区間・経由地の変更できない
航空会社・搭乗クラスの変更できない
搭乗者の変更できない
払い戻し全区間が未使用の場合のみマイルが口座に戻る

つまり日程は動かせます。6月のバンコク行きを7月にずらす、といった変更は可能です。ここは当初思っていたより自由度があります。

一方で、行き先そのものは変えられません。「やっぱりシンガポールではなく台北に」は不可で、それをやるなら取り直しになります。

いちばん気をつけたいのは払い戻しです。マイルが戻るのは全区間が未使用のときだけ。この組み方だと、1回目のバンコク行きに乗った時点で「一部使用済み」になるので、2回目のシンガポール行きだけを取りやめてマイルを返してもらう、ということができません。往復2枚で取っていれば2枚目だけ払い戻せたはずのものが、1枚にまとめたことでできなくなります。これが35,000マイル前後を節約する代わりに引き受けるリスクです。

2回目の予定が流動的なら、素直に往復2枚で取ったほうが安全です。逆に、2回とも動かない予定なら1枚にまとめる価値があります。取消手数料の額や、クレジットカード決済で手数料を払えるかどうかは発券時期によって扱いが変わるので、組む前に公式でご確認ください。

注意点

  • 地上区間の移動費は自己負担です。今回ならバンコク→大阪の片道。総額を比べるときに忘れないでください
  • 日付と便は変更できますが、区間・経由地・航空会社・クラスは変更できません。詳しくは下の「動かせるもの、動かせないもの」をご覧ください
  • 提携特典なので空席待ちができません。空席待ちは、枠が空くのを予約待ちの列に並んで待つ仕組みのこと。3区間すべてが「空席あり」でないと、そもそも予約に進めません
  • 予約開始は復路搭乗日の355日前 午前9時(日本時間)から。日程が長くなるぶん、往路を基準に数えると早すぎるタイミングで張り込むことになります
  • 複数都市検索から入ってください。2026年8月時点のANA公式サイトの画面では、単純往復のフォームでは組めませんでした

まとめ

  • 東京→バンコク/[地上区間]/大阪→シンガポール→東京 が38,000マイルで組めた
  • 単純往復は35,000マイルなので差は3,000マイル。それで2回目の旅行が付いてくる
  • 理由はZone 1-Bの中では細かい区別がないから。どうせその枠に入るなら旅程を伸ばしたほうが得
  • 成立条件は途中降機(24時間超の滞在)が目的地以外に1回までということ。今回はシンガポールで使い切っているので、日本での滞在は挟めない
  • 地上区間の移動費は自己負担。マイルは浮くが、現金が得かは手配しだい
  • 日付は変えられるが、行き先は変えられない。そして1回目に乗ると全体が「一部使用済み」になり、2回目だけの払い戻しができなくなる

年に何度かアジアへ行く方なら、この組み方は効きます。3,000マイルの上乗せで2回ぶんの旅程が入るので、貯めたマイルの持ちが変わってきます。

その代わり、2回の旅行の日程を先に固めることになります。動かせない予定かどうかを見極めてから組んでください。

特典航空券の組み方については、以下の記事でもまとめています。