2026年4月22日、ANA(全日本空輸)とIHGホテルズ&リゾーツが「包括的ロイヤルティ・パートナーシップ」を締結したと発表しました。2026年10月以降に順次サービスが始まり、AMC(ANAマイレージクラブ)の上級会員はIHG One Rewardsの上級ステータスをほぼ自動で取得できるようになります。

特に注目されているのが、AMCダイヤモンド+More会員が「残り2泊」でIHGの最上位ダイヤモンドエリートに到達する仕組みです。ホテル上級会員になれば、家族旅行の宿泊体験そのものが変わります。

この記事では、提携の3本柱(ステータスマッチ・ポイント二重取り・ポイント相互交換)を整理し、SFC会員や2028年4月のSFC制度変更を見据えた家族目線での活かし方をまとめます。

ANA × IHG 提携で変わる3つのこと

今回の提携の中身は大きく分けて3つあります。

  • ステータスマッチ:AMCの会員ステータスに応じてIHG側に宿泊実績(Elite Qualifying Nights)が付与される
  • ポイント二重取り(ダブルディップ):対象のANA国際線でANAマイルとIHG One Rewardsポイントの両方を獲得できる
  • ポイント相互交換:ANAマイル ⇄ IHG One Rewardsポイントの双方向交換に対応する

これまでANAはMarriott Bonvoyとマイル交換で連携してきましたが、ホテル側のステータスを直接付与する提携は今回が初めてです。家族旅行で実利を生むのは、まちがいなく1つ目のステータスマッチです。

ステータスマッチの対応表

ANA側の発表とIHG plcのプレスリリースで公表されているのは、4つのステータスの対応関係と、上位2つは最低2泊の宿泊が必要という点です。下表の「付与される宿泊実績」(68泊・38泊など)は公式リリースには記載がなく、トラベルWatch や TRAICY などの業界メディアの報道にもとづく数字です。正式な条件は2026年10月の開始までに発表される見込みなので、確定情報として扱わないでください。

なお「ダイヤモンド+More」(公式名称は「ダイヤモンドサービス」+More特典)は、AMCのステータス区分ではありません。AMCの公式ステータスはダイヤモンド・プラチナ・ブロンズの3段階で、+Moreはダイヤモンド会員に付く付帯特典セットです(SKYコイン2.0倍、家族へのダイヤモンドステイタス贈呈など)。達成者もAMC上のステータスはダイヤモンドのままです。

+More特典の条件は、ダイヤモンドの条件に何かを足すものではなく、次の3つを単独ですべて満たすことです。

  • 年間プレミアムポイント 150,000ANAグループ運航便のご利用分のみが集計対象)
  • ライフソリューションサービス 7サービス以上
  • ANAカード・ANA Payの決済額 600万円

ダイヤモンド本体の条件(飛行機のご利用のみなら年間100,000プレミアムポイント、ライフソリューションサービスとの併用なら50,000または80,000プレミアムポイント)とは別立ての基準です。とはいえ、IHGとの提携ではANA自身が「ダイヤモンド+More」を独立した対象区分として挙げているので、下の対応表で1行として扱っています。

ANAマイレージクラブの3ステータスとダイヤモンド会員向けの+More特典達成者が、IHG One Rewardsのどのエリートステータスに対応するかを示す図。上位2つは追加2泊が必要、下位2つは追加なし
左が ANA マイレージクラブ、右が IHG One Rewards です。上位2つ(+More特典の達成者・ダイヤモンド)は IHG 側で追加2泊の宿泊が必要、プラチナ・ブロンズは追加宿泊なしで到達します。「ダイヤモンド+More」は AMC のステータス区分ではなく、ダイヤモンド会員に付く上位特典なので、図でも段ではなくダイヤモンドに横付けしたタグとして描いています(AMC のステータスはダイヤモンド・プラチナ・ブロンズの3段階)。サービス開始は 2026 年 10 月以降の順次で、細かい条件は開始までに順次発表される予定です。
ANA → IHG ステータスマッチ条件
AMCステータス付与される宿泊実績残り必要泊数到達するIHGステータス
ダイヤモンド+More68泊+2泊ダイヤモンドエリート(最上位)
ダイヤモンド38泊+2泊プラチナエリート
プラチナ20泊0泊(自動)ゴールドエリート
ブロンズ10泊0泊(自動)シルバーエリート

IHGの上級ステータスは通常、年間70泊(ダイヤモンド)や40泊(プラチナ)といった高いハードルがあります。それを2泊だけで突破できるのは破格です。

付与される宿泊実績の対象期間や、達成後のIHGステータス有効期限など、細かい条件は2026年10月の開始までに順次発表される予定です。最新情報は必ず公式サイトで確認してください。

SFC会員はどう扱われるのか

ANAスーパーフライヤーズカード(SFC)を持っている人にとって、最初に気になるのは「自分はどのランク扱いになるのか」でしょう。

ここで重要なのは、SFCはあくまで「カード」のステータスであり、AMCアカウント上のステータスとは別物という点です。

  • SFCを保有していても、当年度のフライト実績がなければAMCのプレミアムステータスにはならない
  • AMCのプラチナ・ダイヤモンドは毎年のプレミアムポイント(PP)に応じて再判定される
  • 今回のステータスマッチもAMC側の現ステータスを基準に判定される見込み

つまり、SFC会員でも当年度にPPを積んでいない場合、IHG側でプラチナエリート以上を目指すなら「ブロンズ会員枠(10泊付与)」相当からのスタートになる可能性が高い、という整理です。シルバーエリートは無料Wi-Fiやポイント還元20%加算といった控えめな特典が中心で、朝食やアップグレードといった「家族旅行で実感しやすい体験」はプラチナエリート以上から始まります。

なお、SFC会員のステータスマッチ時の正確な扱いは、2026年10月の正式開始までに公式から明確化される見込みです。

修行で一気にIHGの上級まで行きたい場合は、AMCのプラチナ以上を当年度内に達成しておくことが事実上の前提になります。

IHGステータスで何が変わるか(家族目線)

IHG One Rewardsの主要特典を、家族旅行で実際に効くかどうかで整理しました。

家族旅行で効くIHG特典の比較
特典シルバーエリートゴールドエリートプラチナエリートダイヤモンドエリート
客室アップグレード××
ウェルカムアメニティ××
朝食無料(選択可)×××
アーリーチェックイン××
レイトチェックアウト14時14時14時14時
ポイント加算+20%+40%+60%+100%

家族で旅行するときに価値が大きいのは、やはり朝食無料客室アップグレードです。

朝食は4人家族で1泊5,000〜10,000円かかることも珍しくなく、これが滞在中ずっと無料になるのは大きな節約になります。アップグレードも、夫婦ともう一部屋取らずに広めの部屋に上げてもらえれば、子連れ旅行のストレスがぐっと減ります。

IHGダイヤモンドエリート特典の朝食イメージ

逆にゴールド以下では実利が限られるため、「家族旅行のためにIHGを攻める」のであれば、まずAMCのプラチナ以上を狙うのが筋になります。

SFC 2028年制度変更との相互作用

2028年4月施行のSFC制度変更(【2028年4月施行】ANAスーパーフライヤーズカード 制度変更の全貌)によって、SFC PLUSの維持には年間300万円のANAカード決済が必要になり、空港ラウンジ利用などSFC本来の価値の維持コストが上がります。

このタイミングでANA × IHG提携が公開されたことで、「ANAの修行で得た資産をホテル側に逃がす」という新しい選択肢が現実的になりました。一度AMCのプラチナ以上に到達してIHGダイヤモンドにマッチした後は、IHG側の維持条件(年間70泊または12万ベースポイント)を独立して達成すれば、ホテル上級ステータスは航空側の制度変更に左右されにくくなります。

ANAの上級ステータス維持コストが上がる前提なら、ホテル側に複数のステータスを持っておく分散戦略は十分に意味があります。同じ発想は、AMEXセンチュリオン保有で得られるホテル上級ステータスについてまとめた【実保有者ガイド】AMEXセンチュリオンが得られる6つのホテル上級ステータス完全活用法とも通じる考え方です。

ANA国際線でのポイント二重取り

提携のもうひとつの柱が、ANA国際線でのANAマイルとIHGポイントの同時獲得です。

ダブルディップの対象は「日本に向かう海外発のANA国際線(ANA便名かつANA運航便)」とされています。日本発の便ではなく、海外から日本に戻る区間が対象になる点に注意が必要です。獲得ポイントは飛行距離と運賃クラスに応じて加算されます。

家族で年に1〜2回海外旅行に出かける場合、復路でホテルポイントが自然に貯まるのは便利です。2026年5月発券分から燃油サーチャージが大きく上がるなか(【2026年5月発券分より値上げ】ANA・JAL燃油サーチャージが約2倍に)、こうした「同じフライトで複数のリターンを得る仕組み」の価値は相対的に上がっています。

具体的な対象路線、加算率、提携便(ANA運航以外のコードシェア便の扱い)などは2026年10月までに順次発表される見込みです。

ポイント相互交換は家族旅行にどう効くか

ANAマイルとIHG One Rewardsポイントの双方向交換も新たに対応します。

ANAは以前からMarriott Bonvoyとの相互交換に対応していますが、IHG One Rewardsとの双方向交換は今回の提携で初めて実現します。「ANAマイル余り → IHG泊数に転換」「IHGポイント余り → ANA特典航空券に転換」が一つの軸で完結するようになります。

家族旅行では航空券とホテルの片方が高額になるケースが多いため、ポイントを必要な側に寄せられる柔軟性は心強い武器になります。具体的な交換比率は現時点で未公表で、ポイント1単位あたりの実勢価値(特典航空券での1マイル価値、IHG無料宿泊1ポイント価値)次第で「直接交換すべきか、それぞれ普通に使い切るべきか」の判断が変わります。発表時に必ずレートをチェックしましょう。

家族旅行で活きるIHG系ホテル

IHG One Rewardsの上級ステータスを取得したら、まず候補に上がるのが日本国内のIHG系ファミリーリゾートです。

IHGダイヤモンドエリートには「空室状況に応じたスイートアップグレード」が用意されており、滞在ホテルやシーズン次第ではより広い客室や上位カテゴリへ案内されることがあります(クラブフロアやラウンジ利用は予約商品ごとの設定があるため、必ずしもアップグレードの対象になるとは限りません)。家族で広めの客室を確保できるかどうかは、子連れリゾート滞在の体感価値を大きく変えます。

開始までに準備しておくべきこと

2026年10月の開始までに、家族旅行で活かす視点で準備しておきたいのは次の4点です。

  • IHG One Rewardsアカウントを未作成なら今のうちに作成し、ANAマイレージクラブと氏名を完全一致させておく
  • 2026年のAMC側のステータス目標を見直す(プラチナ以上を狙うかブロンズで様子見か)
  • 2026年後半に予定している国内旅行で、IHG系ホテルへの宿泊を意識的に選ぶ(マッチ後に有利)
  • 2028年のSFC制度変更後を見据え、ホテル側ステータスを複数持つ分散の検討

まとめ

ANA × IHG 提携は、家族旅行とホテル上級ステータスの関係を大きく動かす制度です。要点を整理します。

  • 2026年4月22日発表、2026年10月以降に順次サービス開始
  • AMCダイヤモンド+More → IHGダイヤモンドエリート、+2泊で達成という破格の条件
  • AMCダイヤモンドはIHGプラチナエリート、AMCプラチナはIHGゴールド、AMCブロンズはIHGシルバー相当
  • SFC単独保有者の扱いは未発表。公式が挙げるマッチ対象はダイヤモンド+More・ダイヤモンド・プラチナ・ブロンズの4区分で、SFCはAMCのステータスではないため、対象外になる可能性も残る
  • 家族旅行で実感しやすいのは朝食無料・アップグレードが付くプラチナ以上
  • 2028年のSFC制度変更を踏まえ、ホテル側ステータスへの分散は有効な選択肢になる
  • 国際線でのポイント二重取りや相互交換は2026年10月以降に詳細発表予定

開始までまだ時間があるからこそ、AMC側のステータスを整え、IHG One Rewardsのアカウントを準備し、家族旅行の予定をIHG系ホテルに寄せておくと、開始直後から制度の恩恵を最大化できます。続報が出次第、本記事も更新していきます。